反訳トレーニング（和文英訳）の記録が縮まらない原因と対策

反訳トレーニング(和文英訳）では１ページ当たりの時間をはかりながら取り組んでいただいています。

１０の例文を３０秒から６０秒の間で目標を設定し、その時間内で反訳ができるようになるまで取り組みます。

１００例文単位では特に目標を設定せず、１０分、９分、８分と、取り組む回数が増えるごとに、時間が短縮されてゆきます。

ところが、中には１００例文の時間がなかなか縮まらないという方がいます。今日はその原因と改善方法についてお話しします。

原因１
文法知識の欠如や語順を意識しないで丸暗記している

「出る順２級」の中にある次の英語をご覧ください
I could have gotten a job there, but I missed my chance.

日本語訳は
「それに就職できたかもしれなかったが、チャンスを逃してしまった」

この文を覚える際にcould have +過去分詞の意味が、過去を振り返って、実際にはできなかったことや、しなかったことに対して「～できていたであろう」もしくは「～していた可能性がある」という意味があることを理解せずに覚えると、全くの丸暗記になってしまいます。

丸暗記したものは忘れるのも早く、応用が利きません。

対策

私がいつもお伝えしている通り、受講生の方は必ず私に質問メールを送ってください。

文法が理解できると、練習するごとにその文法までが頭に刷り込まれ理解度が深まってゆきます。そうすることで、実際の会話でも使える応用力が身に付きます。

原因２
完成度の低い例文の数が多い

１００例文の反訳を行う中で、いくつかは覚えにくく何度もつまずくものがあるはずです。

その数があまりにも多いと時間も縮まらず、またストレスになりトレーニングの妨げになります。

対策

時間をはかる前に、事前に普段間違えるところだけをしっかり言えるようになるまで練習してください。
そうしてから１００例文の時間をはかると、コンスタントに時間が縮まるようになります。

原因３
急ぎすぎ

時間を縮めようとするあまり、気持ちが焦って間違えが多くなり、結果的に時間がかかってしまいます。

対策

それぞれの日本語のうち、どれが主語で動詞、そして目的語なのか、ゆっくりでよいのでしっかりと見極めながら取り組んでください。

速さではなく、正確に言えることがより重要です。わからなくなったら一呼吸おいてから言葉を発するとよいです。

原因４
発音のルール、単語の連結、脱落ができていない

英語は単語を文字通り発音しないだけでなく、単語の前後のスペルによって音が連結したり脱落したりします。次の例文をご覧下ください。

Tom recently started a new business.
×スターテド　ア　ニュー　ビジネス
〇スターティッダァ　ニュービジネス
dとaの音がつながります。

The doctor suggested to my farther.
×サジェスティドゥ　トゥー　マイファーザー
〇サジェスティットゥー　マイファーザー
Edの音が脱落します。

対策

おすすめのYoutube動画があります。
ニックという方がとても分かりやすく説明してくれていますので、一度こちらの動画をご覧ください。

おすすめ動画

この連結と脱落がうまくできるようになるとネイティブらしい発音になり、英語の読み上げがよりスムーズにかつ早くなります。

原因５
舌の動きが硬い

英語は舌のリラックスさせることで動き滑らかになりますが、どんなにネイティブの真似をしたところで、そう簡単に舌の動きが良くなるわけではありません。

ネイティブの発音と自分の発音の違いを意識すればするほど、その違いに落胆し、気が重くなります。

対策

口が疲れるくらい練習してください。これまで説明したそれぞれの方法で、日々練習を繰り返してください。それ以外に私が提案できる方法はありません。

反訳は単調なトレーニングです。取り組みに飽きてきたなと感じたら次の話を思い出してください。

今私が読んでいる"Atomic Habits"の一部です。

オリンピック選手になった人も含め、数千人もの重量挙げ選手を教えてきたコーチへ、次のような質問がされました。
What's the difference between the best athletes and everyone else?
「トップ選手と他の選手の違いは何ですか」

コーチ曰く
At some point it comes to who can handle the boredom of training every day, doing the same lifts over and over again.
日々のつまらないトレーニングの中で、同じ重量挙げを何度も何度も繰り返し行うことだよ。

と言ったそうです。

スポーツであれ、音楽であれ、そして英語の世界であれ、一流と呼ばれる人たちの練習や学習内容を見たときに我々が驚ろかされるのは、ほとんどの場合、その取り組み方ではなく、その練習量です。

大きな躍進は日々の小さな努力の積み重ねによってもたらされるということを心に刻み、反訳トレーニングに取り組んで下さい。